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ひれ酒について
乾燥させたふぐのヒレを、強火で飴色にあぶり、コップに入れます。
そのコップにグツグツとかなりの温度で加熱させて普通酒、または山廃仕込み(「山廃」とは「山卸廃止酛」を略した表記)の日本酒を注ぎます。
ヒレの香味が酒に混ざるように、コップに蓋をして、蒸します。
少し蒸して出来上がるのは、寒い時期にぴったりなお酒、「ひれ酒」です。
蓋をとったときにチャッカマン等で火をつけると、ほんの僅かの間ですが、ろうそくのような炎が灯ります。
これまで何度も様々な店舗様でその瞬間の写真を撮影しようとしましたが、未だに満足の行く撮影ができておりません・・・
ひれ酒なので、河豚(特にトラフグ)以外のヒレでもできるのではないか、という疑問を以前持ちましたが、他の魚のヒレでは香味成分、いわゆる出汁がほとんどでないため、「ひれ酒」といえば「ふぐのひれ酒」が一般的になっています。
もしかしたら、ふぐ以外のひれ酒もあるかもしれないですが、未だに出会ったことがありません。
余談ですが、ひれ酒に使うお酒は、料理酒でも相性が良かった記憶があります。
料理酒を使うことで魚独特の臭みを無くす効果があるからかもしれませんね。
こういった面から「ひれ酒」も立派な料理の一つだと考えられます。
ひれ酒と燗酒
ひれ酒に使う燗酒ですが、55度以上の「飛切燗(とびきりかん)」や50度ぐらいの「熱燗」を使うところが多いように見受けられます。上燗(じょうかん)、温燗(ぬるかん)程度の燗酒の温度では、ふぐのヒレから出汁が出にくいからです。
「燗酒」と「熱燗」を同意として扱っていましたが、某有名刑事ドラマで主人公が「燗酒で人肌燗でお願いします」といった台詞があり、そういったことから燗酒について勉強した記憶があります。
「つぎしゅ」!?「おいしゅ」!?
ひれ酒ですが、一杯飲んだだけで終わりにするのはもったいないです。
ヒレからはまだまだ香味成分の出汁がでます。
ここで、追加の燗酒を注文するのですが、それをなんと言うのでしょうか・・・!?
「つぎしゅ」と読むか、「つぎざけ」と読むか
追加の燗酒を「つぎしゅ」と呼ぶところもあれば、「つぎざけ」と呼ぶところもあります。果たしてどちらの読み方が正しいのでしょうか?
漢字で「次酒」と表すると仮定しますと、「つぎしゅ」と読むと、訓読み + 音読みなので湯桶読み(ゆとうよみ)になりますね。
湯桶読みの例は、豚肉(ぶたニク)、鳥肉(とりニク)が例として列挙できますが、これらは和語と漢語の組み合わせなので、湯桶読みでも違和感はありません。
ただし、、「酒」が和語で使われているため、「次酒」を「つぎしゅ」と読むのは違和感がありますので、「つぎざけ」という読み方が正しいと考えられます。
一方で「注ぐ日本酒」の略で、「つぎしゅ」であれば、「つぎしゅ」に該当する漢字はなく、「つぎ酒」と表記するのが正しいかもしれませんね。
「ふぐのひれ酒」を飲み終えても、その香味や旨味が残っているときがあります。
そういうときは次酒を2〜3杯追加して、最後までふぐひれを堪能しましょう。
「おいしゅ」と読むか、「おいざけ」と読むか
追加の酒なので、「追酒」で、「おいしゅ」や「おいざけ」という表現も存在するようですね。この場合、「追加の日本酒」を省略した「追酒」を「おいしゅ」、「おいざけ」とどちらで読んでも良いように思えますが・・・
※「新村 出編 広辞苑 第七版」では「追酒」について「おいざけ」という読み方で記載されています。
言った者勝ちのように思えますが、「追加の燗酒」の読み方にこだわるのは、くだらないですよね・・・
そういえば「くだらない」とは・・・!?
「くだならい」って?
諸説ありますが、「くだらない」という言葉は日本酒から生まれたという説もあるようですね。今の東京では日本酒が醸造されておりますが、その東京(当時は江戸)で日本酒が作られていない時代は、京都から運ばれたそうです。
その日本酒の中でも江戸まで運ばれないものについては、「下り酒でない」といったことから、「くだらない酒」と呼ばれていたそうです。
そこから「くだらない」という言葉が誕生したともいわれています。
ひれ酒あれこれ
ひれ酒ですが、これまでこのサイト作成にあたりメニューとして用意されている店舗様のいくつかを列挙させていただきたいと思います。
お断り:ここで列挙する店舗様では時期によって「ひれ酒」をメニューに用意していない可能性もあります。
こちらは全国展開されている「ふぐ料理 玄品 千歳烏山」です。ふぐ料理専門店なので、「ひれ酒」も専門です。
JR上野駅と御徒町の中間ぐらいの場所にある「酒蔵 神田っ子(上野)」です。
11時から営業していますので、昼からお酒を楽しむことができます。
都営大江戸線の新御徒町駅の改札を出て、A1出口を抜けるて、すぐ近くにある「魚旬(うおしゅん)」です。
海鮮がメインです。
京王線の千歳烏山駅から2、3分程度の徒歩で行ける「仲屋(なかや)」です。
やきとんを中心に扱っています。
京王線の八幡山駅から徒歩3分程度の場所にある「千(SEN)」です。
メニューの日替わりが多い、座ることもできる立ち呑み屋さんです。
京王線の千歳烏山駅から2、3分程度歩いた場所にある「手仕込みのやきとり 鬼金棒」です。
焼鳥屋さんです。
小田急線の経堂駅からほど近い場所にある「やきとん あかり」を開業されております。
やきとんを中心に扱っています。
まとめ
スコットランド人に「これはスコッチですか?」と訪ねたとき、その方は「はい、ウィスキーです。」と返答されたのが記憶に新しいです。それから、海外の方が「日本酒」と呼ぶのは違和感なく自然なことですが、日本人が「日本酒」というのは違和感を持つようになりました。
「日本酒」と「清酒」の違いなど、色々調べた記憶がありますが、調べれば調べるほど、広く深い世界であることを知るだけでした。
「ひれ酒」という分野でも、読み方一つでも調べることはたくさんありましたし、未知の世界がまだありそうです。
「料理」も立派な学問だと思いますが、お酒を飲んでいるときは難しいことを考えずに楽しく過ごしたいですよね・・・