ChatGPTでの固有名詞の扱いについて

ChatGPTで固有名詞を扱うときの注意点 ChatGPT

目次

「BioNTech」について

2023年3月以降、文章の校正・修正、情報収集等にChatGPTを利用しております。
しかしながら、ChatGPTでは、こちらの記事で紹介させていただいたように、正確性や理解力には限界があり、常に「期待した回答」を得ることが保証されているわけではありません。
また、こちらの記事のようにChatGPTで人名をカタカナ表記するときに違和感がありました。
そこで、ChatGPTでの固有名詞の扱いについて調査してみました。

ChatGPTで固有名詞を扱うときの注意点

「BioNTech」の解釈

COVID-19ワクチンの研究チームで著名な企業「BioNTech」ですが、その「BioNTech」の読み方について、ChatGPTに質問してみました。

(COVID-19ワクチンの研究チームで著名な企業「BioNTech」は日本語のカタカナの置き換えると「ビオンテック」と「バイオンテック」どちらが適切でしょうか?)(「BioNTech」は、ドイツのバイオテクノロジー企業であり、COVID-19ワクチンの開発で知られています。日本語では、一般的に「ビオンテック」と表記されることが多いです。この表記は、「BioNTech」の英語の発音に近い表現です。
一方、「バイオンテック」と表記する場合もありますが、これは直訳的な表現であり、より正確な表現とは言えません。そのため、「ビオンテック」がより適切な表記とされています。
したがって、「BioNTech」の日本語表記としては、「ビオンテック」が一般的に使用されることが推奨されます。)

ChatGPTによると、「バイオンテック」と表記する場合もありますが、これは直訳的な表現であるため、「ビオンテック」の方がより適切であると回答されています。
ただし、「バイオエヌテック」と表現することもありますので、「BioNTech」とアルファベット表記を使い、さらに「mRNAワクチンを研究された企業」といった補足を入れることで、ChatGPTがより適切に解析できると考えられます。

さらに、「BioNTech」の主力研究メンバーである「Uğur Şahin」と「Özlem Türeci」夫妻の日本語のカタカナ表記についてChatGPTに質問してみました。

(その「BioNTech」の主力研究メンバー「Uğur Şahin」と「Özlem Türeci」夫妻については、日本語のカタカナでどのように表現できますでしょうか?)(「Uğur Şahin」と「Özlem Türeci」夫妻の名前を日本語のカタカナ表記で表現する場合、以下のようになります:
Uğur Şahin(ウールール・シャヒン)
Özlem Türeci(エズレム・テュレチ)
ただし、名前の表記には個人の好みや一貫性があり、他の表記方法も存在する場合があります。以上の表記は、一般的なカタカナ表記として使用されることが多いですが、厳密なルールは存在しないため、他の表記バリエーションも考えられます。)

ChatGPTは、それぞれを「Uğur Şahin(ウールール・シャヒン)」、「Özlem Türeci(エズレム・テュレチ)」と回答しましたが、他の表記バリエーションも考えられるため、この方々の名前をChatGPTで扱う際には、できるだけ補足説明を追加することで、ChatGPTの自然言語処理がより正確になると考えられます。

「Fra Angelico」と「Giotto di Bondone」

初期ルネサンス期のイタリア人画家である「フラ・アンジェリコ」ですが、「聖母戴冠」、「受胎告知」といった代表的な作品があります。
「フラ・アンジェリコ」は、「ジョット・ディ・ボンドーネ」に影響を受けた一人かどうか、ChatGPTに質問してみました。

(イタリアの画家フラ・アンジェリコは、ジョット・ディ・ボンドーネに影響を受けた一人でしょうか?)(はい、ご指摘の通り、フラ・アンジェリコ(Fra Angelico)はジョット・ディ・ボンドーネ(Giotto di Bondone)に影響を受けた一人です。
ジョット・ディ・ボンドーネは、14世紀のイタリアの画家であり、ルネサンスの前身となるゴシック絵画のスタイルにおいて画期的な役割を果たしました。ジョットは宗教的なテーマを描く際にリアリズムや人間的な表現を取り入れ、3次元の体積感や立体性を追求したことで知られています。
フラ・アンジェリコは、ジョットのスタイルや画法に深い関心を持っており、ジョットの作品から多くの影響を受けました。特にジョットの自然主義的な表現や人物の感情表現、空間の立体感などが、フラ・アンジェリコの作品に反映されています。
そのため、フラ・アンジェリコはジョット・ディ・ボンドーネの影響を受けた画家の一人として位置付けられています。彼の作品はジョットの革新的なアプローチを受け継ぎながら、宗教的な神秘主義や輝かしい色彩の要素を加えた独自のスタイルを築き上げました。)

このように、ChatGPTは、「フラ・アンジェリコ(Fra Angelico)はジョット・ディ・ボンドーネ(Giotto di Bondone)とイタリア語でも表記した上で、ジョットの自然主義的な表現や人物の感情表現、空間の立体感などが、フラ・アンジェリコの作品に反映されている」と適切に回答しております。

さて、「フラ・アンジェリコ」を「フラ・アルジェリコ」、「ジョット・ディ・ボンドーネ」を「ショット・ディ・ポンドーネ」とカタカナで誤記した上で、ChatGPTに同様な質問を再度実施してみました。

(イタリアの画家フラ・アルジェリコは、ショット・ディ・ポンドーネに影響を受けた一人でしょうか?)(いいえ、フラ・アンジェリコ(Fra Angelico)は、ショット・ディ・ポンドーネ(Scuola di San Marco)の一員であり、ショット・ディ・ポンドーネの影響を受けたとされるイタリアの画家です。
ショット・ディ・ポンドーネは、15世紀のフィレンツェで活動した修道院の芸術家グループであり、フラ・アンジェリコもその一員でした。ショット・ディ・ポンドーネは、宗教的なテーマを中心に活動し、特にフラ・アンジェリコは聖人や聖母子像などの宗教画で知られています。
フラ・アンジェリコの作品には、ショット・ディ・ポンドーネの特徴である繊細な筆触、明るい色彩、宗教的な神秘主義の要素が見られます。彼はショット・ディ・ポンドーネのスタイルに影響を受けつつ、独自の芸術性を発展させた画家として高く評価されています。)

ChatGPTは、「フラ・アンジェリコ(Fra Angelico)」については、誤記であることを判断しておりますが、「ショット・ディ・ポンドーネ(Scuola di San Marco)」と別の解釈をし、意図した回答を生成できませんでした。
ChatGPTに質問をする際、「ショット・ディ・ポンドーネ」といった誤記もありえ、その結果、正しい回答を得られなくなりますので、スクロヴェーニ礼拝堂の装飾画や「オンニサンティの聖母」といった代表作を追記することで、正確な回答を得る確率が高まります。

なお、フランス人画家の「テオドール・ジェリコー(Théodore Géricault)」の代表作である「メデューズ号の筏」について、「ウジェーヌ・ドラクロワ」が漂流者の1人のモデルとして描かれているのか、といった点についてChatGPTに質問することも興味深いでしょう。

固有名詞を使うとき

以上のことから、海外の人物名や企業名などの固有名詞を日本語のアルファベットで表現することがありますが、その発音方法が日本語と異なる場合が多いため、そういった固有名詞をChatGPTで使用する際には、その国の言語で表現すべきかどうかを質問してみました。

(海外の人物名や企業名などの固有名詞を日本語のアルファベットで表現することがありますが、発音方法が日本語と異なることが多いので、正確に表現することができないことが多いです。
そのため、本来であれば、そういった固有名詞は、その国の言語で表現すべきでしょうか?)(固有名詞の表現方法に関しては、一般的にはその固有名詞が所属する言語で表現することが望ましいです。なぜなら、固有名詞はその言語や文化に根ざした独自の意味や発音を持っている場合が多いからです。
固有名詞を元の言語で表現することによって、その名前に関連する文化的な要素や意味をより正確に伝えることができます。また、固有名詞が日本語においても一般的に使用されている場合でも、元の言語表記を併記することで、より正確な情報伝達が可能となります。
ただし、一部の固有名詞は、その国や地域においても様々な表記が存在し、複数の言語で使用されることもあります。このような場合、文脈や目的に応じて、最も一般的で広く認知されている表記方法を選択することが適切です。
総括すると、固有名詞を元の言語で表現することが、より正確で適切な方法とされています。ただし、具体的な使用場面や文脈に応じて、異なる表記方法が適用されることもあります。)

固有名詞はその言語や文化に根ざした独自の意味や発音を持っている場合が多いため、固有名詞を元の言語で表現することによって、その名前に関連する文化的な要素や意味をより正確に伝えることができるとChatGPTは指摘しています。
さらに、一部の固有名詞は、その国や地域においても様々な表記が存在し、複数の言語で使用されることもあるため、文脈や目的に応じて、最も一般的で広く認知されている表記方法を選択することが適切であるとChatGPTは回答しています。
そのため、目的や文脈を明確にすることが重要です。

また、日本語でも「校正」や「構成」といった同じ読みでも、異なる意味を持つ言葉が多いため、日常生活のコミュニケーションはもちろん、ChatGPTとのやり取りでも注意が必要です。
正確な回答を得るためには、注意深く文脈を注視する必要があります。
以上のことから、正確な情報伝達やコミュニケーションには注意と配慮が求められることを再確認しました。

まとめ

国外の社名や人名などの固有名詞について、ChatGPTは常に期待通りのカタカナ表記を生成するわけではありません。
また、ChatGPTとのやり取りにおいても、利用者が国外の社名や人名を使用する際には、固有名詞が文脈から一意に特定できない場合、ChatGPTの回答の正確性が低下する可能性があります。
そのため、固有名詞をその国の言語で表現したり、補足説明を追加することで、目的を具体的かつ明確にすることが重要です。
これにより、ChatGPTがより正確な回答を生成する可能性が高まります。
以上のことから、固有名詞の扱いには注意を払い、具体的な文脈と明確な目的を持つことが重要であることを再確認しました。