「どん兵衛」の東西の違い

どん兵衛 天ぷらそば(東のだしと西のだし) インスタント

目次

「どん兵衛」の東西の違いについて

この記事では、日清食品の代表商品のひとつ「どん兵衛」は、東日本と西日本での違いについて紹介させていただきます。
なお、日清食品の担当者による調査によりますと、この東と西の境界線は「関ケ原(岐阜県)」のようです。

だしの違い

日本では、関東(東日本)では、「かつおだし」、関西(西日本)では「昆布だし」と出汁の慣習が異なるという背景から、「どん兵衛」でも1976年当時から、東日本と西日本向けの商品に出汁の違いがありました。
販売地域によって味を分けて全国展開するカップ麺では、初の商品のようです。
「どん兵衛」は、東日本では、本鰹と宗田鰹の「Wだし」を採用し、丸大豆醤油の調和により、味わい深い濃厚な色のつゆですが、西日本では、本鰹と昆布の「Wだし」を採用し、丸大豆醤油が上品に調和することで、だしの旨みが後を引く味わい深い淡い色のつゆとなっています。

水の違い

東日本と西日本では、水(水道水)の硬度が異なり、一般的に西日本の方が硬度が低いです。
水の「硬度」とは、ミネラル分であるカルシウムやマグネシウムの含有量を表したもので、硬度の低い水は「軟水」、硬度の高い水は「硬水」と呼ばれています。
参考までに、東京都水道局で測定している蛇口での硬度の平均値は約60mg/L程度ですが、大阪市の水道水の硬度は、年間を通じて概ね40〜50mg/L程度です。
カップ麺では、この水道水の硬度の違いも加味されている可能性があるため、東日本と西日本で販売されている「どん兵衛」の味の違いを試すときは、硬度の低い水を使った方が妙味があると考えられます。

余談ですが、「鉱水」は通常、地下の鉱脈や岩盤から湧き出る天然の水で、ミネラルが豊富に含まれている水を指し、「ミネラルウォーター」と同義語として使用されることがあります。

軟水のミネラルウォーター

軟水(いろはす)
コンビニエンスストアで販売されてミネラルウォーター(鉱水)のほとんどが、軟水です。
今回は、「い・ろ・は・す(I LOHAS)」で熱湯を用意し、カップ麺に使いました。

軟水(いろはす、硬度)
「い・ろ・は・す(I LOHAS)」の硬度は、27mg/Lと硬度が非常に低く、軟水(0〜60mg/L)に分類される範囲に該当します。
2リットルで100円程度ですが、カップ麺の熱湯として使うのは少しもったいないかもしれません。

硬水のミネラルウォーター

硬水(エビアン)
「エビアン(evian)」は、コンビニエンスストアなどで入手しやすい比較的硬度の高いミネラルウォーターだと思います。
硬水(エビアン、硬度)
「エビアン(evian)」の硬度は304mg/Lと非常に高く、硬水(181mg/L以上)に分類されます。
なお、カップ麺に硬水を使用すると、麺の表面にカルシウムやマグネシウムの成分が結晶化して、ザラザラとした食感になったり、麺やスープの風味が劣化する可能性があります。
一方で、硬水を使用することで、蕎麦の風味や食感が引き立つという考え方もありますので、このような硬水を使ってカップ麺を楽しむのも一興であると思います。

その他の違い

「どん兵衛 天ぷらそば」を例にしますと、調理方法も熱湯4分と同じですが、東日本は「赤唐辛子 彩り七味」で仕上げるのに対し、西日本は、「和山椒華やぐ彩り七味」で仕上げますので、赤唐辛子と山椒との違いがあります。
また、いずれも1食100gですが、東日本は、487kcal(めん・かやくが462kcal、スープが25kcal)、西日本は、486kcal(めん・かやくが474kcal、スープが12kcal)と異なることから、製造方法そのものが違うことが伺えます。

どん兵衛 天ぷらそば

東のだし

東のだし(全体)
こちらは、東日本限定で販売されている「どん兵衛 天ぷらそば」です。
出汁は、本鰹と宗田鰹の「Wだし」ですが、いわしも使われております。

東のだし(実食)
「粉末スープ」の小袋を開けた瞬間から、鰹の強い香りが食べ終えるまで継続します。
濃淡なおつゆを口に含むと鰹の風味が一気に口内に広がります。
滑らかな喉越しの蕎麦だけでなく、あとのせの天ぷらとの相性も秀逸なおつゆだと思います。

西のだし

西のだし(全体)
こちらは、西日本限定で販売されている「どん兵衛 天ぷらそば」です。
出汁は、本鰹と昆布の「Wだし」です。

西のだし(実食)
おつゆの香りは、東日本の「どん兵衛」と比べ、鰹の香りは控えめで、昆布の華やかな風味も絶妙に入り混じっております。
スープの見た目は、東日本よりも薄いのですが、豊かで濃厚な味わいであることは確かです。
ささやかながらも山椒が利いているため、その香りやアクセントが、おつゆの味わいを引き立てておりました。

まとめ

「どん兵衛 天ぷらそば」で、東日本と西日本で販売されている「どん兵衛」の違いについて紹介させていただきました。
東日本で販売されている「どん兵衛」は、本鰹と宗田鰹の「Wだし」、西日本では本鰹と昆布の「Wだし」と大きな違いがありますが、薬味や原料でも異なる点はありますので、味の違いを個々人で楽しめると思います。
なお、今回は、30mg/Lの軟水で熱湯を用意し、その2つの商品を実食しましたが、東京都の水道水(約60mg/L程度の軟水)よりも麺やスープが滑らかな味わいに仕上がっているように見受けられました。
そのため、住んでいる地域の水道水の硬度の違いにより、風味の違いも発生しえますので、硬度の非常に低いミネラルウォーターや、非常に高い硬度のミネラルウォーターで「どん兵衛」を試す価値もあるのではないでしょうか。
最強どん兵衛」の場合、軟水と硬水とで、味の違いが如実に出るように思われますので、機会があれば試してみます。