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「Google Bard」の回答の信頼性など
こちらの記事に記載しましたが、2023年5月11日から日本語でも利用できるようになった「Google Bard」ですが、わずか2週間で、日本語の文章の処理や理解が大幅に改善されているように見受けられ、その進化の驚異的なスピードに圧倒されました。そこで、その「Google Bard」に、普段疑問に思っている電子の性質について問いかけてみました。
「Google Bard」に聞いてみよう
素朴な疑問に対する回答
未だに理解していない原子内の電子の性質について「Google Bard」に疑問を投げてみました。原子に含まれる電子は、量子力学の世界では、観測されるまで、どこに存在するか特定できないとされていますが、「観測されていない状態」のときは、原子内のすべての場所に存在していると考えられるかどうか、 まずはその点を確認してみました。
「Google Barde」は、「量子力学では、電子は波と粒子の性質を併せ持っています。そのため、電子の位置を特定することはできません。電子は、ある確率で原子内の特定の領域に存在しています。観測をすると、電子は特定の位置に現れますが、観測するまでは、電子は原子内のすべての場所に存在していると言えます。」と回答されました。
しかしながら、後で調査したところ、厳密には、「電子は原子内のすべての場所に存在している」という表現は適切ではなく、「電子の存在は確率的な波動関数によって記述され、その波動関数から得られる確率分布に基づいて、電子の位置を予測することができる」がより正しい表現だと思われます(実際、「Google Bard」も後の質問で、「電子は、原子内の特定の位置に存在しているわけではなく、ある確率で原子内の特定の領域に存在している」と回答されています)。
さらに、人間の眼で、原子を「見る」ことができると仮定すると、原子は、電子に覆われた球体状の「もの」として「見える」かどうか「Google Bard」に質問してみました。
原子は、電子に覆われた球体状の「もの」として見えないと回答されました。
その理由は、電子は、原子内の特定の位置に存在しているわけではなく、ある確率で原子内の特定の領域に存在しているからとのことです。
そのため、原子を人間の眼で見ても、電子の存在を直接観測することはできないとのことです。
そもそも、目に届く可視光の波長は約400ナノメートルから700ナノメートルですので、ナノスケールでの観測では、光の波長が観測対象と同じくらいかそれ以下の場合、視覚的な情報を得ることはできないですからね。
人間の体は分子から成り立っており、その分子を構成する原子は、ほとんどが「空虚」、つまり空っぽの状態であるにも関わらず、なぜ人間は透き通って見えないのかについても、「Google Barde」に質問してみました。
「Google Bard」によりますと、原子内の原子核と電子の電気的な反発力が存在し、原子は原子核と電子が密着して存在するのではなく、互いに反発し合っているため、透き通って見えることがないということです。
また、人間の体は皮膚や骨などの固い組織で構成されており、これらの組織は光を吸収したり反射したりするため、透き通って見えないという回答をいただきました。
厳密には、人間の骨や皮膚を構成するほとんどの原子内の電子は特定のエネルギー準位に存在し、光のエネルギーに応じた量子が吸収または放出されることがあります。
この現象により、原子や物質が光を吸収したり反射したりするため、人間は透明には見えないといったことでしょうか。
人が直接見ることができる「世界」は、可視光線の吸収と反射によって生じるものですので、私たちは限られた世界しか知覚することができないと再認識しました。
素朴な疑問から湧いた新たな質問に対する回答
「量子コンピュータ」という存在について耳にすることがありますので、この原子の特殊な性質との関連性について「Google Bard」に質問してみました。「Google Bard」によると、原子の特殊な性質は量子コンピュータの技術と関連しているとのことでした。
量子力学では、電子は波と粒子の性質を併せ持っています。
そのため、量子コンピュータでは、電子の状態を制御することで、従来のコンピュータでは不可能な計算を行うことができるようですね。
電子は波と粒子の性質を持つため、従来の「0」と「1」の計算機工学と量子コンピュータの概念は大きく異なるはずです。
そのため、波と粒子の性質に基づく理解を深めるために、波動関数という概念や、それを導くために必要なシュレーディンガー方程式の理解が重要であるかどうかについて、「Google Bard」に質問してみました。
シュレーディンガー方程式は、量子コンピュータの理解に不可欠な方程式であるとのことです。
しかし、シュレーディンガー方程式について何から学べばよいのかわからず、理解が遠いと感じていました。
そこで、「Google Bard」に対して、シュレーディンガー方程式を使った具体的な例や、GolangやPythonなどのサンプルコードの生成を依頼し、実際にシミュレーションを行うことで直接触れる機会を得ました。
ただし、まだ理解までには遠い道のりです。
井戸型ポテンシャル(「井戸」はエネルギーの高低を比喩)内の電子の振る舞いを表現するために使用される波動関数に親しむことが先決かもしれません。
回答の信頼性について
そもそも、「Google Bard」の回答について、「信頼度」を推量できるようなパラメータが存在するかどうか確認してみました。回答の長さや具体性、客観性、一致性などを考慮して、「Google Bard」の回答の信頼度を推量することが役立つと言われています。
ただし、最終的に回答を信頼するかどうかはユーザー自身の判断に委ねられますね。
AIの性質について
この記事では、原子内の電子の性質について議論してきましたが、普段は確率的に存在し、観測することで初めて位置が特定できる性質について言及しました。この性質は、AIも類似しているように思えたため、「Google Bard」に質問してみました。冒頭の「Google Bard」の回答を省略しますが、
『AIは、膨大な量のデータを学習することで、パターンを認識し、予測することができます。
しかし、AIは、完全に完璧ではありません。誤った予測をしてしまうこともあります。
これは、AIが、人間と同じように、世界を完全に理解していないからです。
原子内の電子とAIは、どちらも、まだ完全には理解されていない謎に包まれた存在です。
しかし、両者には、確率的にしか存在し、観測してはじめて場所が特定できるという共通点があります。
この共通点は、AIの研究が、原子物理学から学ぶことができることを示唆しています。』
とのことでした。
原子内の電子の存在は人間の五感では直接「観測」できないため、間接的な手法を使って「観測」しています。
技術の進歩により、かつて「観測」できなかったものが今では「観測」できるようになっていることは事実です。
それにもかかわらず、人類は、まだ世界を完全に理解していないと言えますが、AIはその理解を深めるためにさらに多くの情報を「観測」できる存在になり得るのかもしれません。
まとめ
2023年5月11日から日本語でも利用できるようになった「Google Bard」ですが、わずか2週間で日本語の文章の処理や理解が大幅に改善されたように見受けられました。そのため、原子の世界について質問してみました。
学生が授業中にわからないことがあれば、AIに随時問い合わせたり、後で理解を深めるためのツールとして利用できる可能性があります。
ただし、誤った予測が発生することもあるという事実を念頭に置くことが重要です。
「Google Bard」も含め、AIは高度なパターン認識や予測能力を持ち、観測やデータから意味を抽出できますので、未知の現象や観測されていない領域に対しても洞察を提供し、新たな知識の獲得に貢献することが期待できますね。