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「ChatGPTの苦手なこと」について
ChatGPTは様々なトピックに関する知識や文脈を持っており、利用者はさまざまな質問や会話を通じて自動生成された文章を得ることができる便利なAIツールです。ただし、こちらに記載したように、ChatGPTは2021年9月までの情報しか持っていないという点と、「正確性や理解力には限界がある」という点に注意が必要です。
この記事では、ChatGPTを1ヶ月ほど利用した過程で発見した、ChatGPTが苦手な事例をいくつか紹介させていただきます。
ただし、ChatGPTは日進月歩で成長しているため、ここで紹介させていただいた事例は2023年5月16日時点のものです。
したがって、今後さらなる改善がされる可能性が高いです。
オンザライスの扱い
文章の校正と修正を依頼したところ、その結果に違和感がありました。ChatGPTの回答には、「そして目玉焼きをオンザライスに載せて、かき混ぜながら食べる」とありますが、この場合、「載せる」という言葉は余分であり、「目玉焼きをオンザライスして、かき混ぜながら食べる」と表現する必要があります。
ChatGPTは、「オンザライス」という表現について、自然言語処理が正常にできなかった可能性があります。
文字解析と訂正・校正
ChatGPTは、英語をカタカナにした文章を含む日本語の文章の自然言語処理に苦手意識はないようです。実際、「アーモンドチョコはベリーデリシャスなので、エブリデイイートできます(アーモンドチョコは、とても美味しいので、毎日食べられます)」のような文章も正常に処理できることが確認できます。
ChatGPTは、文字の訂正だけでなく、「適度な摂取量やバランスの取れた食事を心がけることが大切です」と、健康に配慮したありがたいアドバイスも提供しておりました。
さらに、「sorosorotsuyunojikidesunodemainichikasawojisanshimashou(そろそろ梅雨の時期ですので毎日傘を持参しましょう)」と、すべてローマ字でかつスペースがない文章でも、ChatGPTでは修正できます。
「日本語では単語ごとにスペースを入れることが一般的です」とChatGPTは適切なアドバイスもしています。
「切開席に雨水円さんを加えると2参加TANSOが発生します(石灰石に薄い塩酸を加えると二酸化炭素が発生します)」という文章は、漢字の誤用や専門用語の誤用があるため、自然言語処理の精度が低下してしまうようです。
また、「2参加TANSO」という表現に関しては、算用数字とローマ字が混在しており、ChatGPTでも、正しく訂正・修正することができませんでした。
文学作品について
ChatGPTは、夏目漱石の小説『こころ』の文章をすべて学習しているという前提で、小説中に登場する「K」の出身宗派について質問したところ、意外なことに正確な回答が得られませんでした。夏目漱石著の「こころ」の原文には「Kは真宗の坊さんの子」という記載があるため、ChatGPTに再度確認しました。
ChatGPTでは、「Kは真宗の坊さんの子」という事実を理解しており、前回の回答が間違っていた事実を謝罪しました。
しかしながら、質問の内容を変更し、何度かChatGPTに改めて質問しても、夏目漱石の小説「こころ」に登場する「K」は、「曹洞宗(そうとうしゅう)」の坊さんの出身であると回答していたため、細かい点では正確性が低くなると考えられます。
ここで、夏目漱石の前記三部作と後期三部作についてChatGPTに質問してみました。
夏目漱石の前期三部作は「三四郎」、「それから」、「門」であり、後期三部作は「彼岸過迄(ひがんすぎまで)」、「行人」、「こころ」です。したがって、ChatGPTには一部の作品が学習漏れしている可能性があります。
日本のアーティストについて
2017年11月8日に発売された安室奈美恵さんのベストアルバム「Finally」に収録されている楽曲についてChatGPTに質問したところ、「おどるポンポコリン」が回答の一部に含まれていました。そこで、ChatGPTに対して、日本のアーティストがリリースしたアルバムに関する情報を保有しているかどうか質問してみました。
ChatGPTのトレーニングデータには、特定のアーティストの具体的なアルバムの収録曲や詳細な情報に関する内容は含まれていないようですね。
まとめ
ChatGPTを1ヶ月ほど利用した過程で発見した、ChatGPTが苦手な事例をいくつか紹介させていただきました。例えば、「オンザライス」といった広くは流布していない英語を日本語の文章に取り込んだり、漢字の誤用や専門用語の誤用が多い文章の解析には、ChatGPTでも限界があるようです。
また、特定のアーティストの具体的なアルバムの収録曲や詳細な情報、特定の作品の詳細や特定の文脈については、ChatGPTでは正確性や完全性が保証されないようですね。
これからのChatGPTがどのようにアップデートしていくか、引き続きできるかぎりキャッチアップしていきたいと思います。